最近のパートの傾向
生産現場の高度な熟練工(=問題解決型熟練)は、このような物理・化学的な意味での再現性がなかなか確保できないような状況であっても、これまでに蓄積した経験やノウハウにもとづき、良品を確保するためのより的確な、情報サービス業を営む大手企業の業務処理ソフトウェア開発プロジェクトを事例としてとりあげ、外注化を行なう仕事の範囲や、外注化の規模を選択する経営の論理をあきらかにしたい。
事例企業において、経営によるそうした選択は、プロジェクトが担当する各工程をすすめるうえで、社員を利用することと外注化により他社のスタッフを利用することの、相対的なメリットとデメリットを比較しつつ行なわれている。
本章では、そのような経営の判断に着目することで、社員と他社スタッフとの分業関係を選択する経営の論理の解明を試みることにする。
日本において、情報サービス業の従業者のうち「正社員・正職員等」の割合は、約9割(89.7%)を占める(「平成12年特定サービス産業実態調査」)。
また、「2000年情報サービス産業基本統計調査」によると、情報サービス産業協会に加盟する企業521社(有効回答数407社)に雇用される従業者の年間総労働時間の平均は、2042時間であった。
情報サービス業の従事者の多くは、雇用契約と労働時間に関して、常用フルタイムの、従来からある典型的な就業形態のもとで勤務しているといえる。
しかし、このことは、日本の情報サービス業が、柔軟な就業形態の活用と無縁であることを意味しない。
'情報サービス業の企業において、ソフトウエアの開発や保守・運営などの工程の一部を外注化し、ソフトウェア開発を営む他社のスタッフを利用することは、ひろく一般に行なわれている。
「2000年情報サービス産業基本統計調査」によると、1999年現在、調査対象企業の売上高に対する「情報関連外注費(プログラム開発、入力作業等を指す)」の比率は22.13%を占め、人件費の30.34%に次ぐ大きな経費となっている。
また、「平成11年特定サービス産業実態調査」によると、情報サービス業に属する企業の、契約先産業のシェアの15.3%を「情報サービス業務を行う同業者」が占めている。
これを事業所規模別でみると、契約先に占める「同業者」の割合は事業所の規模が小さいほど高い。
比較的大規模な事業所が、他産業の顧客企業から受注したソフトウェアの開発や保守・運営などの工程に、比較的小規模の事業所ないし企業を利用する傾向がよみとれる。
とはいえ、小規模事業所においても、契約先の大多数は他の産業であり、また従業者500名以上の大規模な事業所においても、契約先の14%程度を「同業者」が占めている。
'情報サービス業においては、メーカーとサプライヤーとが明確に分化した自動車産業を典型とする製造業と比べ、企業間の垂直的な取引関係はゆるやかといえる。
いずれにせよ、情報サービス業において、外注化を通じた企業間の協力関係はひろく普及しているといえよう。
ところで、既存研究によれば、情報サービス業の主要業務であるソフトウエア開発のプロジェクトにおいて、各企業が担当する工程には、ゆるやかな分業関係がみられる。
ソフトウェア開発の工程は、設計段階、開発段階、テスト段階の3局面に分けられる。
そして、一般に、ソフトウェアの設計からテストまでを顧客企業から受注した企業は、設計やテストの段階を中心として自社の社員を主に利用する一方で、開発段階を中心に外注化を行ない、他社スタッフを工程に参加させているそれでは、こうした元請的立場にある企業の経営は、どのような判断にもとづき、外注化する工程の範囲や、外注化の規模を選択しているのであろうか。
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